バルセロナ近郊でガストロノミーの真髄を サンパウ

サンパウ本店に来るのは3回目。
4月の一番気候がいい時期に来たかった希望がかないました。
今年は平年より気温が低かったようですがジャケットを羽織って散策するのにちょうどいい気候でした。

バルセロナからセルカニアスで地中海を見ながらショートトリップ

実はカフェで時間をつぶしていたら乗り遅れちゃったので最初の予定より1本遅い電車。


セルカニアスも新型になっています。

バルセロナからサン・ポル・ダ・マール/Sant Pol de Marを結ぶ近郊鉄道はスペインで一番古い鉄道路線。
バルセロナからサン・ポル・ダ・マール間は一部区間が1848年に、その後1861年には既にバルセロナと鉄道で結ばれていました。

ちなみに、現地ではサン・ポル・ダ・マールではなくサンポールと言えば通じます。

サンポールにやってきました。


地中海と空のコントラスト。
素敵な場所です。


駅のホームからサンパウを激写(笑)。
お食事のあとのお庭でのひと時も楽しみです。


海、空、そして、もうひとつの青。サンパウの入り口です。


一番最初にサンパウを利用したのは2006年。
2013年4月でしたので、もう7年が経っていました。


おなじみのテーブルセッティングが期待を膨らませます。


はじめてきたときは庭に出られなかったんですよね。


おなじみのお花もありました。


期待が高まる中、ミクロメニューに突入です。

4種のミクロメニューからスタート

食事の前に庭を見てみると・・・


ハーブを摘み取る姿。

自家製ハーブ園です。


ミクロメニューのスタートです。
このときののミクロメニューは東京のサンパウの開店9周年を記念したメニュー。


まず、STARTER BROTH。


Romesco Dashi。

スモークパプリカも飾りとして添えてあります。
ロメスコソースというとネギのカルソッツを思い出しますが、実は食べたことがないのです。


出汁ということでやさしい味。
これから出てくる料理が楽しみになる味です。


つづいて、スモークした地中海のツナ。


上品に上品にスモークをうっすらかけた感じ。

そして、Courgette and Duroc pork maki with wasabi。
ズッキーニをデュロック豚で肉巻きにしてみました。わさび風味を添えて。


「Duroc pork って何だろ?」と思って調べてみたら、北米東部産と英国産とを交配した豚のこと。
肉質がいいのが特徴です。

Jurvert sponge。


数字の9は9周年記念のこと。
カタルーニャ地方の伝統を素に東京で9周年を迎えたサンパウのことをあらわしているのだと思います。

そして、味噌味のスティック。
Miso with nine dried nuts sticks。



9つのナッツが織り成す食感が楽しい。
味噌もちょうどいいアクセント。

ミクロメニューはここまで。


パンが運ばれ。いよいよ本編突入です。

フォトジェニックで美味しくファンタスティックな料理

Seawater canelloni, pea puree

エビを海水のゼリーで巻いたもの。
エビと豆の風味がすばらしい。

そして、次も旬を感じさせてくれる一皿です。

Three spring asparagus

3つのアスパラガス。

ヨーロッパで春の訪れを継げるホワイトアスパラガス。
そしてグリーンアスパラガス。
ソース&ムースにぱりぱりのライスペーパーを投入。

見た目だけでなく食感も驚きの連続です。

続いては大好きな一皿。

Mersme Peas

地元の新鮮な豆の甘い風味がすごい。
緑色の豆の使った料理ってどうしても青臭くなっちゃうんですが、そんなこと全然ない。
実はまねしてグリンピースで作ってみたんですが、全然違うものになっちゃいました。

続いて、素材が直球で攻めてくる一皿。

Gamba tails on sailor's toast

inspired by an ancient Marsme recipe となってましたが、エビがおいしい。
調理法がシンプルなだけに素材の良しあしがわかるだけにシェフの素材選びに脱帽です。

次も絵画のような一皿。

Monkfish with blackened calcot, and tiny onion petals, and spheres, in a saffron sauce

カタルーニャ地方の冬から春にかけての名物料理、カルソッツの黒焼き。
そして、アンコウ。
サンパウの手にかかるとおしゃれに変身します。

カルソッツのように黒い部分を剥いで食べるわけではないのですが、こういった地元ならではの名物を取り入れてあるのってうれしいですよね。

そして次はメイン。
本来一皿を選択するのですが、シェフから「両方いかがですか?」とのこと。
もちろん断る理由ありません。


鴨肉の中はワイルド・セロリのスプラウト。
鴨肉は火の通し方が難しいのですが、すばらしい色。
さすがです。

そして、サンパウならではの一皿。

Pluma of Iberian pork, xiulets in tempura

イベリコ豚のプルーマ。
毎回、イベリコ豚をどのように食べさせてくれるのか、とても楽しみなんです。
最初は、この色で、本当に豚肉?とかなりびっくりしたのを覚えています。

サンパウに始めてお邪魔したのは、2006年の元日。

駅前だし、地中海を見ながら電車で簡単にいけそうだし、旅の最後に美味しいレストランに行きたかったから予約して伺ったのが最初。

予約後、「サンポールでグルメの星を」という記載と共に、カルメシェフの家族の手が3つのヒトデを撮影した写真がデザインされたカードが届きました。

旅行中の海外のレストランの予約はだいたい1ヶ月前くらいにするのですが、このときはたまたま早めに予約したからよかったものの、もし、いつもと同じように1ヶ月前に予約をしていたらテーブルが取れなかったかも。

最初にサンパウに伺ったときもそうだったんですが、オーナーシェフのカルメ・ルスカリェダさん、テーブルに挨拶にいらしてくださいました。
気さくな感じ、シックで素敵な雰囲気ははじめて訪れたときと変わっていません。

何回も行きたくなるレストランって、そうそうありませんが、サンパウは訪れるたびに新鮮な驚きとどことなく懐かしい感じが漂うすばらしいレストランです。

チーズのプレゼンが独特

引き続きチーズとデザートです。

以前は5種類のチーズとあわせた食材の組み合わせでびっくりさせられたんですが、最近は同じ食材を三通りに用いて違いを愉しむという趣に。

高度かつ挑戦的な内容になりました。

Vacherin three ways, with artichokes, rose and pine nuts, each highlighting a different flavour aspect of the cheese


チーズは詳しくないんですが、そんな私でも3変化を楽しめました。
アーティチョーク、薔薇、そして松の実と変化していく風味が楽しい。

そして、次も驚きの一皿。

Strawberries, with Muscadet jelly

イチゴ。

このイチゴ、色も濃いけど、すごく甘かった。
もちろんイチゴ本来の甘さ。
しかも地元の食材だそう。

昨日食べたイチゴはなんだったんだろう。

景色もごちそう!山の上のレストラン


続いての一皿は、追加のデザート。
甘いワカモレ。


アボガド、大好き。
前に大量買いしたことがあって、消費に困ったときにミキサーで甘いアボガドドリンクを作ったことがあるので、アボガドを甘くいただくのは実は違和感がなかったのですが、コリアンダーも入ってちゃんとワカモレになっているのがすごい。

Fruit and Vegetable orange, endive and rocket

これ、サラダみたい。
でもね、ちゃんと、デザートなんです。

フルーツと野菜のアイスクリームになってるんです。
ちゃんと野菜の風味も感じられて、でも、いやらしくない。

次はインパクトが強いデザート。

Chocolate black and white, rasberries, raisins, Brandy

巨大マテ貝のようなお皿(笑)にのって出てきたのは、チョコ。

しかもエディブルフラワーや様々な食材がトッピングされていて、うれしい。
食べるのがもったいない一皿です。

しかも更なる驚きが・・・パチパチキャンディーが入ってます。
日本国内ではAGFが販売していたドンパッチ。
ゼネラルフーズのライセンス品なのでPOP ROCKSという名前でアメリカでも販売されていました。

見た目だけでなく食べても楽しい一皿でした。

庭での素敵なひととき

お気に入りのレストラン、サンパウでのひと時も佳境に入ってまいりました。


日時計のあるお庭に出ます。


雲ひとつない空。
地中海の風に吹かれながらコーヒーを。


サンパウの魅力のひとつが、この、お庭でのひと時。

この辺でエグゼクティブシェフのジェロムシェフがいらしてくれました。
握手をしましたが、びっくり。
ものすごく手の温度が低いんです。
やはり、美味しい料理を提供するシェフって手の温度が低いのでしょうか。

木漏れ日の中いただく10種類!のプティフール。


プティフール。
たまりません。

mini Sacher

小さいザッハトルテ。
チョコレートの濃厚な風味がうれしい。

Liquorice and sherbet stick  Puff pastry cake and pumpkin angel hair
サンパウのプティフールの定番。
食感が楽しい。

White chocolate rock  Coconut cookie  Limoncello jerry  Raspberry crumble

特にリモンチェッロのゼリーは昨年行ったアマルフィを思い出しました。
大人の味のゼリー。

Black chocolate rock  Frangerico financier  Orange black chocolate

2種類のチョコレートとフィナンシェール。
お腹いっぱいになりつつも全部いただきました。

コーヒーをお代わりして、お庭でゆっくりしていたい。
でも、既に時刻は夕刻。
名残惜しい限りですが、セルカニアス(近郊電車)のホームへ。

ガストロノミーの真髄を味わうなら サンパウ本店

サンパウ本店は1988年開店。
今年で25周年なんですね。
ブログに書いていて、また、サンパウに行くためにバルセロナに行きたくなりました。

モダン・スパニッシュや女性シェフ、そして海外に本店があるレストランとして注目されているサンパウ。

日本のコレド日本橋のサンパウももちろんいいのですが、ガストロノミーの観点からやはり本店で味わいたい。

個人的には、地中海を眺めながら料理が楽しめる昼のほうがおすすめ。
もちろん、デススタシオンことテイスティングメニューも昼も楽しめます。


Sant Pau
Carrer Nou, 10, 08395 Sant Pol de Mar, Barcelona, スペイン
TEL +34 937 60 06 62
営業時間 13:30-15:30、21:00-23:00
定休日 日曜日・月曜日・木曜日、5月・11月の前半3週間

RESTAURANT SANT PAU (東京店)
〒103-0027 東京都中央区日本橋1丁目6−1
TEL 03-3517-5700
営業時間 12:00~15:30、18:00~24:00

2 件のコメント :

  1. 涙が出そうに懐かしいです...。

    最近はミクロメニューもやめて,季節事に「カラー」とか「ダンス」とかのテーマでデグスタシオンを組んでいます。今年の初春は元メートルのRさんがお勧めのアラカルトを半分こして「自分たちでデグスタシオン」という暴挙に出ましたが,元要職従業員を同伴した常連wということで,許してもらえました。

    ジェロムさんの手,冷たいですよね。あればかりは天性のもので努力してもどうしようもありません。一緒に同時間だけ同じチョコの表面を触ったことがありますが,ジェロムさんが触れた部分は変化無し,僕が触れた部分は形象崩壊していました。

    バルセロナは心が痛い場所が大杉でまだ辛いですが,Rさんもジェロムさんもいらっしゃるからまた行かなくちゃです。

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    1. こんにちは。

      もう4年も前なんですね。
      あの時だけでなく、何回かご一緒しましたが、とても思い出いっぱいです。
      旧ブログからの記事の焼き直しですが、書いているだけで思い出で胸がいっぱいになりました。

      また一緒に行きましょう。

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